仕事上の会話で、言っていることは間違っていないはずなのに、相手が不機嫌になってしまったり、どこかギクシャクした空気になってしまったことはないでしょうか。
要件を簡潔に伝えることは間違いではありません。しかしその言い方が、唐突すぎたり、圧を感じさせるものになってはいないでしょうか。
たとえば、「ご質問の件、新規の依頼のようです。見積を添付しましたので返事をくださいますか。」という一文。業務的には正確ですが、相手によっては「急に突きつけられた」と快く思わないことがあります。
そんなときは、一言付け加えて“ワンクッション”置いて伝えてみましょう。
「今回の件ですが、新規のご依頼として受け止めております。もし以前にお話が出ていたようでしたら、当方の確認不足かと存じます。念のためお見積書を添付いたしましたので、ご確認いただけますと幸いです。」
意図や内容は変わらなくても、相手への配慮や敬意が伝わります。
また、冒頭に少しだけ共感の言葉を添えるのも有効です。「今日は暑いですね」「お忙しいところ恐れ入ります」「ご無沙汰しておりますがお変わりありませんか」——たった一言あるだけで、会話の空気がやわらぎます。
ビジネスとはいえ、人と人とのやり取りです。つい要点だけを伝えたくなる場面でも、少し立ち止まり、相手の呼吸に合わせることで、話の通り方がまるで違ってきます。
「言った」「伝えた」だけでなく、「どう伝わるか」「どう受け取られるか」に意識を向ける。そのための“ワンクッション”が、ビジネスを円滑にし、人間関係をより良くしてくれます。
伝える技術ではなく、伝わる工夫をしましょう。