稼ぐことの本質は、通帳の金額や数値の大きさだけでは測れません。本当の成功は、その金額を生み出す「価値提供の質」をどれだけ提供し続けられるかということと、それを適切に扱う「リテラシー(能力)」によって決まります。
また、お金は量では豊かさを保証せず、受け取る力と”使う力”が備わった時に初めて有効や満足度が高まります。
本記事で解説する三つの柱は以下の通りです。
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- 継続的な提供価値(ビジネスの質)
- 従業員や周囲に関わるの満足度(心)
- お金を活かすリテラシー(使い方)
第一の柱:継続的な提供価値(ビジネスの質)
稼ぐことの本質は「価値交換」にあります。顧客の課題をどれだけ確実に解決し、どれだけ成果へ導けるかが、評価と報酬の基盤になります。
奉仕や自己犠牲だけではビジネスはなりたちません。無償の善意や過度な自己犠牲は企業体力を損ない、ビジネスとして維持できません。顧客の成功をつくり、その成功が正当な対価として自社へのリターンに戻る健全な循環こそが、ビジネスの質です。
一方、時に提供価値に合わないといった利益だけ追求する姿勢は、長期的には企業の価値を損ないます。ビジネスに限らず、お金ばかりを追いかけると友人を失ったり、悪い人ばかりが寄ってくるといったことがおきるのと同様に、どこかでほころびがでてきます。価値を積み重ねることで、”正当な対価”を頂くというのがビジネスの鉄則です。
第二の柱:従業員や社会の満足度(心)
ビジネスは金銭だけで動くものではありません。組織の戦力や社会的な存在意義は、「心」の充足が不可欠です。
従業員の戦力は、給与という待遇だけでは引き出せません。それ以上に、価値観の一致、役割理解、責任感、そして成長意欲といった無形の資質が、組織の成果を左右します。金銭条件が揃っていても、仕事への姿勢が欠けている場合、生産性は上がりません。
逆に、強い目的意識と貢献意識を持つ従業員は、限られた環境でも高い成果を実現します。ビジネスにおける豊かさとは、どれだけ価値を生み出し、従業員や社会がそれに満足しているかという「心」の総量にも影響を受けるのです。
第三の柱:お金を活かすリテラシー(使い方)
個人の収益も企業の資金も、お金の「量」そのものが豊かさを保証するわけではありません。大切なのは、手元にある資金を「有効に活かす能力」です。「受け取るリテラシー」と「使うリテラシー」が備わった時に初めて、成果として機能します。
お金の使い道はそれぞれでいいと思います。事業拡大のための投資や組織成長のための投資、設備、給与、福利厚生(社員旅行など)といったものから社会貢献や寄付といったものまでさまざまです。
一方、投資や従業員の為に使わず、経営者の交際費や株主の優遇に偏よるといった”私利私欲”を優先すると組織に綻びがでてきます。
- お金を活かすリテラシーが低い場合:資金を有効に活かせなければ、安定した収益にはつながりません。
- お金を活かすリテラシーが高い場合:少ない資源でも、適切な場面で的確な投資や判断ができ、着実に成果を拡大できます。
どれか一つでも欠けた場合
もしこの三要素のうち、どれか一つでも欠けてしまうと、例え大きな利益を上げても、組織内に「何の為に稼いでいるのか」という目的の不透明さが生じます。また、「自分たちが努力して生み出した価値やお金が、どのように使われ、どうなるのか」といった漠然とした心配や不信感につながり、従業員のモチベーションを大きく損なうことになります。
まとめ:長く続く組織の”豊かさ”
経営者や従業員の個人個人のお金に関する価値観は多様性があってもいいと思いますが、企業や組織の行動基準がばらばらだと組織の一体感が望めません。
お金に関する3つの価値観(ビジョンやミッション)が浸透していれば、現場の従業員一人ひとりが、上司に逐一指示を仰がなくても、組織内の倫理観や行動基準が統一され、組織全体として正しい方向性に基づいた意思決定をその場で行えます。これにより、顧客への一貫した高品質なサービス提供が可能になります。
また、従業員は組織に対する強い帰属意識を持つことができ、組織文化が形成され、従業員一人ひとりのモチベーションが向上します。
この継続的な提供価値、満足度(心)、リテラシー(使い方)の三要素が揃った時にのみ、ビジネスは揺るぎなく持続的で安定した成果を生み出します。
ビジネスは、お金を稼ぐこと自体が目的になってしまいがちです。
組織も夫婦(家族)も壊れる原因の一番は「お金」です。
「稼ぐとは?」「稼いだらどうする?」、、こうした対話をおこなってみてください。
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