弊社にWEB集客相談を依頼されるお客様のほとんどが、「戦術先行型」のマーケティングに陥っています。
「戦術先行型」とは、コンセプトやペルソナ(ターゲット顧客像)という戦略的な軸がないまま、手法や外部の意見だけを頼りに施策を進めることです。
- 「SEO(検索エンジン最適化)対策をやるべきだと聞いたから」
- 「代理店やインフルエンサーに勧められたので、広告を出した」
- 「有名なマーケティング企業を使いたかった」
こうした戦術先行型は、時流に乗っている間は一時的な成果が出ることがあります。しかし、上位戦略のない戦術先行型のマーケティングは、数年で必ず効果を失います。
失速した際、ノウハウやデータの蓄積がリセットされてしまうというデメリットもあります。数年でSEOや外部環境(AIの登場など)が激しく変化する現代において、ノウハウが残らないマーケティングは、ゼロからのスタートを何回も強いられることになり、担当者が疲弊する危険性があります。
もちろん、戦術先行型にも短期的な効果を生み出すというメリットはあります。本記事では、そのメリットも踏まえつつ、なぜ戦術先行型が長期的に通用しないのかについて解説します。
最後までお読みいただき、御社のマーケティングを「蓄積される資産」へと変えるヒントを見つけてください。
「錯覚」に終わる、戦術先行型の構造的脆弱性
「戦術先行」とは、誰に、何を、なぜ提供するかという軸(戦略)を固めずに、個別の施策(戦術)だけを先に進めてしまう状態を指します。数値は忙しく動いているため「成果が出ているはず」という錯覚に陥りがちですが、施策には以下のような構造的な欠陥を含むことがあります。
- 改善の根拠が不明確:戦略がないため、施策の成功・失敗の理由が分からず、PDCA(計画・実行・評価・改善のサイクル)を回せない。
- 環境変化への耐性がない:戦略がないまま積み上げた施策は、アルゴリズム変更や顧客行動の変化に直面すると、短期間で価値を失います。
- 「自己満足の数字」で終わる:アクセス数やフォロワー数といった表面的な数字は増えても、顧客の購買理由と結びついていないため、事業成果につながりません。
戦術先行型の典型的な5つの失敗例
以下のいずれかに当てはまる場合、戦略不在による機能停止のリスクが高まります。
1. 「バズり動画」や「おもしろ投稿」への過度な傾倒
- 行動:一時的な流行やエンタメ性の高いコンテンツにリソースを集中させている。
- 概念不在:ペルソナ(ターゲット顧客像)が求める「購買に役立つ情報」や、企業のコンセプト(提供価値)と関係なく、「いいね」獲得を目的化しています。
- 数年後:アルゴリズムの変更によりリーチが激減。購買に結びつかない指標だけがゼロに近づき、資産として残りません。
2. 他社事例の表層的な模倣と広告費の増額
- 行動:有名企業の成功事例を、自社の事業価値との整合性を無視してそのままマネます。
- 概念不在:自社のUSP(独自の強み)や、顧客の購買動機を深掘りしないため、施策とブランドの間にズレが生じます。
- 末路:コストが嵩むだけで、費用対効果が悪化します。ブランドとして記憶されず、広告を止めた途端に集客が途絶えます。
3. 「とにかく量産」するSEO記事やコンテンツマーケティング
- 行動:検索順位を上げることだけを目標に、顧客の真の検索意図(知りたいこと)を無視した記事を機械的に量産します。
- 概念不在:顧客の「購買理由」や「課題解決の導線」といった上位戦略が設計されていません。
- 末路:一時的なアクセス増加という「自己満足」で終わり、事業成果につながる質の高いリード(見込み客)が獲得できません。AIの進化により質の低いコンテンツは即座に埋没します。
4. ツール導入やプラットフォームへの盲目的な依存
- 行動:「最新のSaaS(サース)」や「MAツール(マーケティングオートメーション)」といった”楽をする”ツールの導入ありきで進めます。
- 概念不在:顧客とのコミュニケーション設計(ペルソナ)が定義されていないため、ツールを使いこなす戦略がありません。
- 数年後:導入したツールが宝の持ち腐れになり、固定費だけが増加します。効果測定の根拠も曖昧です。一度導入したら後戻りできなくなる(スイッチングコストやサンクコスト)場合も多いです。
5. 「現場の忙しさ」を成果と勘違いする
- 行動:毎日、SNS投稿、広告管理、レポート作成などで忙しく動き回り、「何かしら動いていること=マーケテイングの成果」と錯覚します。
- 概念不在:コンセプトという軸がないため、施策の成功要因や改善点が特定できません。「動いていることが正解」という組織風土からの脱却が難しくなります。
- 末路:成果が上がらない原因を「リソース不足」と誤認し、不毛な施策を継続します。事業としての知見(ノウハウ)が生まれず、成長がストップします。
数年単位の変化に耐えうる「戦略への回帰」こそが基盤
AIの登場、コロナ禍による顧客行動の変容、そしてSNSアルゴリズムの高速な普及など、マーケティングの外部環境は数年単位で前提が覆る時代です。
戦術先行型は、この変化に耐えられません。なぜなら、改善の「根拠」を戦略に求めていないからです。
企業が継続的に成果を出すためには、アクセス数やフォロワー数といった表面的な数字を追うだけではなく、常に戦略に立ち返らないとなりません。
- ペルソナ(顧客像):ターゲット顧客の価値観や購買動機は変化し続けています。
- コンセプトとUSP(提供価値):変化した顧客のニーズに対し、企業の提供する価値と強みが有効であるかを再確認します。
「誰に、何を、なぜ届けるのか」という軸を再定義することが、環境変化に耐え、持続的な成果を生むマーケティングの唯一の基盤となります。
ぜひ御社の戦略を見直してみてください。