WordPressサイトが動かない?MySQL(MariaDB)バージョン不一致が原因かも
WordPressサイトが突然表示されない、管理画面が重い、エラーが出る——そんなときに見落としがちなのがデータベース(MySQL / MariaDB)のバージョンです。サーバー側の自動アップデートや、WordPress/プラグインの更新をきっかけに「互換性のズレ」が起きると、不具合として表面化することがあります。
この記事では、まず現状確認→一次対応→恒久対策の順で、Web担当者向けにわかりやすく整理します。
起きがちな症状(バージョン不一致で起こり得ること)
- 表示崩れ/500系エラー/致命的エラー:テーマやプラグインが特定のSQL仕様を前提にしている場合に発生。
- 「データベース接続確立エラー」:原因は他にもありますが、環境の整合性が崩れていると発生の引き金になります。
- 管理画面や検索が重い:古いDBだと最適化が効かず、クエリ性能が落ちることがあります。
- セキュリティリスク:サポート切れのDBは既知の脆弱性が放置される可能性があります。
- 新機能が動かない:プラグイン側の要件が上がると、古いDBでは正常動作しないことがあります。
まずは3分:現在のMySQL(MariaDB)バージョンを確認する
最初にやるべきは「いま何のDBが、何のバージョンで動いているか」を把握することです。確認方法は3つあります。
1)サーバーのコントロールパネルで確認(おすすめ)
- レンタルサーバーの管理画面にログイン
- 「データベース」「MySQL」「MariaDB」「phpMyAdmin」等の項目を探す
- バージョン表記(例:MySQL 8.x / MariaDB 10.x)を確認
2)WordPressの「サイトヘルス」で確認
WordPress 5.2以降なら、管理画面から確認できます。操作の流れは Site Health(公式Learn) も参考になります。
- 管理画面「ツール」→「サイトヘルス」
- 「情報」タブ
- 「データベース」欄を開き、種類(MySQL/MariaDB)とバージョンを確認
3)phpinfo()で確認(上級者向け・要削除)
一時的に phpinfo.php を作り、<?php phpinfo(); ?> を書いてアクセスすると詳細情報が表示されます。確認後は必ず削除してください(情報漏えいリスク)。
互換性チェック:WordPress公式の推奨要件と照らし合わせる
バージョンが分かったら、まずは公式推奨と比較します。基準は WordPress公式:必須要件(推奨環境) を参照してください。
- 推奨:MySQL 8.0以上 または MariaDB 10.6以上
- あわせてPHPも推奨(サーバー全体の整合性が重要)
なお、WordPressには「最低限動くライン」と「推奨ライン」があり、ホスティング向けの互換性情報は Make WordPress Hosting:Compatibility にもまとまっています。
すぐ試す一次対応(安全第一の手順)
DBのバージョン変更は、手順を誤ると停止リスクが高い作業です。焦って本番でいきなり変更せず、まずは以下の順で進めてください。
- フルバックアップ(ファイル+データベース)を取得
- 最近の更新(WP本体/テーマ/プラグイン)を洗い出す
- 可能ならステージング環境で再現テスト
- 「特定プラグイン更新後から」なら、そのプラグインを一時停止して切り分け(FTP/ファイル名変更で無効化も可)
- サーバー側の自動更新が疑わしい場合は、ホスティング会社へ変更履歴(DB・PHP・WAF等)を確認
恒久対策:バージョン管理を“事故らない運用”にする
- 月1回:サイトヘルスでPHP/DBバージョンを確認(記録を残す)
- 更新は本番直ではなく、ステージング→本番の順で
- 更新手順を固定(例:バックアップ→ステージング更新→動作確認→本番反映)
- 古いDBを放置しない(サポート切れはセキュリティと保守性が下がる)
- 長期的には、推奨要件を満たしやすい運用向けプラン/サーバーへ移行検討
よくある注意点(ハマりどころ)
- MySQLとMariaDBは別物:見た目は似ていますが、バージョン番号は単純に対応しません(サーバー表記をそのまま確認)。
- 「DB接続エラー=即バージョン問題」ではない:認証情報・DBサーバー停止・権限など他原因も多いので、切り分けが重要。
- 共有サーバーはDBの変更ができないことが多い:その場合はホスト側対応 or サーバー移行が現実的です。
まとめ
WordPressの不具合は「WordPress側」だけが原因とは限らず、MySQL(MariaDB)を含むサーバー環境の整合性で発生することがあります。まずは現在のDBバージョンを把握し、WordPress公式の推奨要件と照らし合わせて判断しましょう。
不安がある場合は、バックアップ・ステージング・更新履歴の確認までを先に行い、停止リスクの高い作業(DB更新・移行)は慎重に進めるのが安全です。


