会社のホームページや業務システムの土台であるMySQL 8.0が、サポート終了に向かっています。
本記事は、公開されている一次情報をもとに、管理部・総務・サイト担当の方にも分かりやすく影響範囲・起こりやすいトラブル・対策を整理します。なお本文では、新しいバージョンへの入れ替え(アップグレード、以下「入れ替え」)という表現で統一します。
1.公式発表や資料で分かっていること
開発元(Oracle)の発表・公式資料で確認できる主な事実は次のとおりです。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 終了時期 | 2026年4月にMySQL8.0はOracle のライフタイム・サポート方針上 Sustaining Support に移行し、新たなセキュリティ修正・不具合修正の提供対象外となります。 |
| 理由 | Oracleの公式方針:MySQLのリリースモデルはLTS(Long-Term Support) とInnovationの2系統。MySQL8.4はLTSとして長期サポートを前提に安定運用向けに提供されています。 |
| 影響範囲 | WordPress 等のサイト、EC、社内システムのデータベース。レンタルサーバ・VPS・クラウドのいずれで運用していても対象になり得ます。 |
| 関連システムへの影響 | サーバ OS や PHP、接続モジュールの更新が進むと、8.0では動作が合わない(表示不具合・機能停止)可能性があります。 |
| 現状 | 開発元は8.4LTSへの入れ替え(アップグレード)を案内。多くの環境で計画と検証に時間が必要なため、早めの準備が推奨されています。 |
要点:MySQL8.0は 2026年4月以降、新しい修正が基本的に提供されません。そのため、弱点や不具合が残り続け、サイト停止や情報漏えいの危険が高まります。
2.起こりやすいトラブル(推測を含みます)
- 修正が受けられない:2026年4月以降はSustaining Supportとなり、新たなセキュリティ修正・不具合修正の提供対象外になります。
- 互換性の崩れ:サーバOS、PHP、接続モジュールなど周辺ソフトの更新により、8.0 で表示崩れや機能停止が発生するおそれがあります。
- 基盤の要件変更:MySQL 8.1 以降は64 ビット専用。32ビット環境では入れ替えが必須です。
- 復旧コストの増大:障害発生後に初めて対応すると、調査・復旧に時間と費用がかかり、事前の検証・バックアップ・ロールバック手順がない場合は影響が長期化します。
3.影響が入り込む“経路”にあたるもの(技術以外も含む)
- サーバ設定・契約:管理画面のMySQL のバージョンやOS の古さ、自動更新の有無、64 ビット対応、バックアップ保持期間を確認。
- アプリ側の部品:WordPress・プラグイン・テーマ・接続モジュールの対応状況、PHP の対応バージョン、事前の互換テストの有無。
4.まとめ:事業者を取り巻くリスクと、最小コストで済ませる対策
影響はシステムだけでなく、人の運用や取引先とのつながりにも及びます。停止や信用失墜は大きな損失です。
最小のコストで済ませる近道は、期限前に計画と準備をすることです。
- 土台の見直しを継続:現在のバージョンと構成を棚卸しし、8.4 LTS への入れ替え(アップグレード)計画を決める。
- 接続環境を厳格に:本番前に試し運転(検証環境)で表示・動作を確認する。
- 人と取引先の体制:丸ごと保存と元に戻す手順、確認担当者を明確にする。
不明点は専門用語を使わずにご説明します。まずは現状確認からご相談ください。
※本記事の一部は、一般的な運用の流れに基づく解説や推測を含みます。実際の対応は各社の環境により異なります。



