PHPバージョンアップの不安を解消!Webサイトを安全に保つための注意点
PHPのバージョンアップは、Webサイトを安全に保ち、表示速度を上げるために、とても大切な作業です。一方で、いざ始めようとすると「サイトが動かなくなったらどうしよう…」「エラーが出たら怖い」という不安を感じるWeb担当者の方も多いと思います。
実際に、準備をしないままPHPを上げてしまい、サイトが表示されなくなったり、一部の機能が使えなくなってしまうケースも少なくありません。本記事では、そうしたトラブルをできるだけ避けながら、PHPのバージョンアップを安全に進めるための「注意点」と「具体的な対策」をわかりやすく解説します。
PHPバージョンアップでトラブルが起きる主な原因
PHPのバージョンアップによってWebサイトに不具合が出るのには、いくつか典型的な原因があります。事前に「どこで問題が起きやすいか」を知っておくだけでも、対策が立てやすくなります。
PHPバージョン間の非互換性
古いPHPを前提に書かれたプログラムが、新しいPHPではそのまま動かない場合があります。特にメジャーバージョンアップでは、「使えなくなった関数」や「書き方が変わった部分」が増えるため、今まで問題なく動いていたコードが急にエラーを出すことがあります。
利用中のテーマやプラグインの未対応
WordPressなどのCMSを使っている場合、インストールしているテーマやプラグインが新しいPHPに対応していないと、不具合が起きやすくなります。古いままのテーマやプラグインが、新しいPHPの仕様に追いついていないと、ページが真っ白になる・管理画面に入れない・特定の機能だけ動かない、といったトラブルにつながります。
データベースとの連携問題
PHPのバージョンアップにより、データベースへの接続方法や、一部のライブラリの動きが変わることもあります。古いデータベースや古い拡張機能に依存している場合、「今まではたまたま動いていた部分」が表に出てトラブルになることがあります。
サーバー環境との相性
PHPだけでなく、Webサーバー(Apache や Nginx など)や、その他のミドルウェアとの組み合わせによって問題が起こることもあります。サーバー側の設定が新しいPHPに合っていなかったり、周辺のソフトが古いままだと、パフォーマンスが落ちたり、思わぬエラーの原因になることがあります。
もしもの時に!すぐに試せる対処法
PHPバージョンアップ後に、もしサイトにトラブルが起きてしまっても、慌てる必要はありません。まずは落ち着いて、次のような基本的な対処を順番に試してみてください。
- バックアップからの復元
作業前にバックアップを取っていれば、それを使って「アップデート前の状態」に戻すのが最も確実な方法です。ファイルだけでなく、データベースもセットで戻すことで、元の状態に復旧しやすくなります。 - PHPバージョンのダウングレード
多くのレンタルサーバーでは、管理画面からPHPのバージョンを選び直すことができます。ひとまず以前のバージョンに戻してサイトを復旧させ、そのうえで原因調査と対策を進めると、利用者への影響を最小限にできます。 - エラーログの確認
「どのファイルの、どの部分でエラーが起きているのか」を知る手がかりになるのがエラーログです。サーバーの管理画面やFTPからログを確認し、表示されているエラーメッセージを手がかりに、問題の箇所を特定していきます。 - テーマ・プラグインの無効化
WordPressの場合は、テーマやプラグインが原因になっていることが非常に多いです。管理画面に入れる場合は、プラグインをすべて停止し、デフォルトテーマに切り替えて動作を確認します。管理画面に入れない場合は、FTPで該当フォルダ名を一時的に変更する方法もあります。
安全なPHPバージョンアップのための恒久対策
トラブルが起きてから対処するよりも、「起きにくくしておく」ことが何より重要です。ここでは、安全にPHPバージョンアップを行うための、日頃からの備えと進め方のポイントをご紹介します。
事前準備の徹底
- バックアップの取得
Webサイトのファイルとデータベースの両方を、必ずバックアップしてから作業を始めましょう。万が一のときに「元に戻せるかどうか」は、ここで決まります。 - テスト環境での検証
本番サイトと同じデータをコピーしたステージング環境(テスト用環境)を用意し、そこでPHPバージョンを上げて動作確認をしておくと安心です。本番に影響を出さずに、事前に不具合を洗い出せます。 - テーマ・プラグインの互換性確認とアップデート
利用中のテーマやプラグインが、新しいPHPバージョンに対応しているか、開発元のサイトや公式ページで確認しましょう。対応している場合は、PHPを上げる前にテーマ・プラグインを最新版にしておくのがおすすめです。 - PHPコードの互換性チェック
自社で作成した独自機能やカスタマイズが多い場合は、PHPの互換性チェックツールなどを使い、「新しいPHPでエラーになりそうな書き方」がないか事前に確認しておくと、後のトラブルを減らせます。
計画的なアップデートの実施
サーバー会社の案内や、WordPressの推奨PHPバージョンを参考にしつつ、計画的にアップデートしていくことが大切です。アクセスが少ない時間帯を選んで作業したり、社内・関係者にあらかじめ周知しておくことで、トラブル時の影響を抑えられます。
専門家への相談
「自分たちだけで進めるのは不安」「トラブルが起きてからでは困る」という場合は、Webサイト保守やサーバー運用の専門家に相談するのも有効です。万が一のときの復旧方針も含めてサポートしてもらえると、精神的な負担も大きく減ります。
まとめ
PHPのバージョンアップは、セキュリティとパフォーマンスの両面で、Webサイトを長く安心して運用するために欠かせない作業です。一方で、やり方を間違えると一時的にサイトが止まってしまうおそれもあります。
だからこそ、
- 事前のバックアップ
- テスト環境での検証
- テーマ・プラグインの互換性確認
- アクセスが少ない時間帯を選んだ計画的な作業
といった基本を押さえておくことで、ほとんどのトラブルは未然に防ぐことができますよ。
「PHPのバージョンアップ=怖いもの」ではなく、「サイトを守るための大事なメンテナンス」として、落ち着いて準備を進めていきましょう。ご自身での対応に不安がある場合や、重要なサイトを運用している場合は、専門家に相談することも前向きな選択肢です。


