WordPressのサーバー移行は、やみくもに進めるとトラブルの元になりますが、事前準備と正しい手順さえ押さえておけば、落ち着いて進められる作業です。本記事のステップをチェックリスト代わりにしながら、計画的に進めてみてください。
もし「自社だけで進めるのは不安」「トラブルが起きたときに相談できる相手がほしい」と感じた場合は、専門家に相談するのも一つの方法です。サイトの安定稼働は、ビジネスの信頼と機会損失の防止につながります。安全なサーバー移行を実現し、貴社のWebサイトをより安心して活用していきましょう。
WordPressサーバー移行でよくある悩み
WordPressサイトのサーバー移行は、サイトの安定稼働を左右する大事な作業です。その一方で、「データが消えそうで怖い」「移行中にサイトが止まったらどうしよう」「専門知識がなくて不安」と感じているWeb担当者様は少なくありません。
特にビジネスサイトの場合、移行中のダウンタイムはそのまま機会損失につながります。だからこそ、事前の計画と、抜け漏れのない作業手順が重要です。本記事では、その不安を少しでも軽くし、安全かつスムーズにWordPressサイトを新しいサーバーへ移行するためのポイントをまとめました。
サーバー移行が難しいと感じる主な原因
WordPressのサーバー移行が「難しそう」「失敗しそう」と感じられるのには、いくつかの理由があります。
データベースの扱いが分かりづらい
WordPressは、画面に見えているページだけでなく、投稿記事・ユーザー情報・各種設定といったデータをデータベースに保存しています。サーバー移行では、このデータベースを丸ごとコピーしたうえで、サイトURLの書き換えなども必要になります。ここでミスをすると、サイトが真っ白になったりログインできなくなったりするため、不安を感じやすいポイントです。
大量ファイルの転送が手間
テーマ・プラグイン・画像などのファイルはFTPやSFTPで転送します。サイトの歴史が長く、画像やファイルが多いほど時間もかかり、途中でエラーが出るリスクも高まります。
細かな設定変更が必要になる
新サーバーでは、wp-config.php内のデータベース接続情報や、WordPress本体のサイトURL設定を変更する必要があります。設定の一箇所でも間違うと、サイトが表示されない・管理画面に入れないといったトラブルにつながります。
DNS切り替えにタイムラグがある
サーバー移行の最後の工程として、ドメインのDNS設定を新しいサーバーのIPアドレスに向け直します。この作業にはDNSの仕組みへの理解が必要なうえ、反映までに数時間〜最大72時間ほどかかる場合もあり、「本当に切り替わったのか」「どっちのサーバーが表示されているのか」が分かりづらくなりがちです。
WordPressサーバー移行の具体的な手順
ここからは、WordPressサイトを安全に移行するための基本ステップを整理します。大枠の流れをつかんでおくだけでも、不安はぐっと減らせます。
1. 移行前の準備と確認
- バックアップの取得： 現在のサーバーから、WordPressファイル（本体・テーマ・プラグイン・アップロードファイル）とデータベースのバックアップを必ず取りましょう。万が一の際に「元に戻せる」状態を作ることが最優先です。
- 新サーバー環境の確認： PHP・MySQLのバージョン、ディスク容量、SSL対応など、WordPressが問題なく動作する環境になっているか確認します。必要に応じてドメイン設定も済ませておきます。
- 移行方法の検討： 手動での移行が不安な場合は、移行プラグイン（例：All-in-One WP Migrationなど）の利用も選択肢になります。ただし、容量制限やサーバーとの相性があるため、事前テストをおすすめします。
2. ファイルとデータベースの移行
- ファイルの転送： 旧サーバーからWordPress一式のファイルをダウンロードし、新サーバーの公開ディレクトリ（例：public_html）へFTPクライアント（FileZillaなど）でアップロードします。
- データベースの移行： 旧サーバーのphpMyAdminなどからデータベースをエクスポートし、新サーバーのphpMyAdminでインポートします。
- wp-config.phpの編集： 新サーバーで発行したデータベース名・ユーザー名・パスワード・ホスト名に合わせて、wp-config.phpの記述を変更します。
3. サイトURLの更新
- データベース内のURL置き換え： ドメイン変更やSSL対応（http→https）を行う場合は、データベース内の古いURLを新しいURLに一括で書き換えます。Search Replace DBなどのツールやSQLで慎重に実施してください。
- WordPress管理画面での確認： 新サーバー上の管理画面にログインし、「設定」→「一般」で「WordPressアドレス（URL）」「サイトアドレス（URL）」が正しく設定されているかを確認します。
4. DNSの切り替えと動作確認
- DNS設定の変更： ドメイン管理サービスの管理画面で、ネームサーバーもしくはAレコードを新サーバーのIPアドレスに変更します。反映には数時間〜72時間程度かかる可能性があります。
- サイトの動作確認： 切り替え後に、トップページだけでなく主要な下層ページ・画像・お問い合わせフォームなどが正常に動作しているかをチェックします。
- パーマリンクの再設定： 管理画面の「設定」→「パーマリンク」で、一度「変更を保存」をクリックし、.htaccessのパーマリンク設定を再生成しておきましょう。
移行後の注意点と安定運用のためのヒント
サーバー移行が完了したあとも、しばらくは様子見とメンテナンスが大切です。
- 古いサーバーの停止タイミング： 新サーバーで問題なく運用できていることを十分に確認してから、旧サーバーを解約します。念のため、1〜2か月ほど契約を残しておくと安心です。
- SSL証明書の再設定： 新サーバー側でSSL証明書を発行・設定し、httpからhttpsへのリダイレクトが正しく動いているか確認します。
- 定期バックアップの仕組みづくり： 自動バックアップ機能付きのサーバーやバックアッププラグインを活用し、「もしもの時に戻せる」状態を常にキープします。
- 表示速度・負荷のチェック： Google AnalyticsやSearch Console、計測ツールなどで、移行前後の表示速度やアクセス状況、エラー有無を確認します。
- セキュリティ対策の見直し： WAFやファイアウォールの設定、ログイン保護、WordPress本体・テーマ・プラグインの更新状態などを改めて確認し、攻撃に備えます。
まとめ：計画的な移行でWordPressサイトを安全に
WordPressのサーバー移行は、やみくもに進めるとトラブルの元になりますが、事前準備と正しい手順さえ押さえておけば、落ち着いて進められる作業です。本記事のステップをチェックリスト代わりにしながら、計画的に進めてみてください。
もし「自社だけで進めるのは不安」「トラブルが起きたときに相談できる相手がほしい」と感じた場合は、専門家に相談するのも一つの方法です。サイトの安定稼働は、ビジネスの信頼と機会損失の防止につながります。安全なサーバー移行を実現し、貴社のWebサイトをより安心して活用していきましょう。
