企業やブログなどのWebサイトというと、デザインを思い浮かべる方が多いと思いのではないかと思います。
ホームページ全盛期の頃の10-15年前は、確かにオシャレなデザインが流行っていました。大手も小さな企業もこぞって、キャラクターが動いたり、ボタンを押すと音がでたりといったギミックを用いたオシャレなホームページを作っていました。
しかし、最近はそういう凝ったデザインは後回しにして、コンテンツを大事にしようという流れになっています。デザインを先に考えるのではなく、『コンテンツを先に考える』、これがコンテンツファーストの考え方です。
目次
ホームページの第一目的は多くのアクセスを得る事
初めてWebサイトを作ろうとなった場合、写真はどうしようかな、色はどうしようかな、装飾などうしよう・・・と言った感じでインテリアデザインをするようなイメージを持たれている方が多いのではないかと思います。もちろん、そういうイメージを持つことは大事なのですが、企業のWebサイトの目的は「より多くの人に見てもらう事」「見てもらった方にアクションをしてもらう事」です。
星屑のゴミにならないように
この本質からずれてしまうと、折角お金と労力をかけて作ったWebサイトが死んでしまい、星屑の中に埋もれてしまいます。デザインにこだわり抜いて時間もお金も投資したWebサイトが一日に1-3のアクセスしかないのはよくあることで、そういうサイトを沢山見てきました。しかも、そのアクセスの半分は企業を相手にしているセールス業者やIT関係者です。「まさか、うちのホームページに限ってそんなことはない」と、たかをくくっている方は未だに多くみかけます。
ホームページを手塩にかけて育てた者が勝つ時代
そもそも、アクセスが無いとホームページは存在していないのと同じです。趣味で友人に見せびらかすだけなら、従業員や株主、顧客に失礼です。
今日、ホームページを公開しただけでアクセスが集まらないという事はご存じだと思います。では、お金を掛けずにどうやってアクセスを増やすのか?、その答えは、『こつこつWEBサイトを育てていく』これしかありません。
ホームページは公開してからが勝負です。植物と同じように、ホームページが誕生した瞬間から、手塩にかけて育てていかないとなりません。最初は小さな芽の状態で、数年すれば花が咲き、多くのお客様を運んできて、沢山の実がなると願って育てます。ホームページと真剣に向き合い、水や肥料を与え、手入れをするわけです。これをしないで放置していると星屑(WEB宇宙のごみ)になります。
手塩にかけないといけない理由は”変化のスピード”と”量の変化”
何故、それほど、手入れをしないとならないのか。理由は大きく二つあります。一つ目は、世の中のIT(アプリやWeb)やマーケティングの流れがすぐに変わってしまう事、二つ目は、ホームページの量が圧倒的に増え続けている事です。
変化のスピード
一昔前、ホームページはパソコンで見るものでした。しかし、モバイルが進化し、移動中の情報収集が進み、短い時間でインスタントに情報を得るようになりました。また、ユーザーの情報収集の方法が多様化してきました。フェイスブックやインスタグラムがその例で、新しいWEBサービスが目まぐるしく変わっています。
そして、市場の成熟化や冷え込みにより、消費者がモノやサービスを積極的に買わないことに加え、アマゾンやUberといったグローバル化の波が日本企業を席巻しています。企業はマーケティングや販売方法の革新が必要になり、手を変え品を変え、休んでいる間もない状態です。
量の変化
ホームページの量が増え続けている事も原因です。ぐるなびや食べログなどのディレクトリサイトの乱立や、無料でできるホームぺージやブログの品質が向上して、誰でも格安でホームページを持てるようになりました。
こうしたことからホームページが増殖しています。研究者がまともに数が数えられない位の勢いで増え続けています。その結果、WEB上に多くの企業が現れ、「検索しても表示されない」といった現象になりました。企業はこうした競争に勝たないとなりません。
モバイル・ファーストからコンテンツ・ファーストへ
更に、ディスプレーが小型化する事でWebデザインの流れが変わりました。モバイル・ファースト・インデックス(Mobile-first Indexing)という言葉をご存じでしょうか。モバイル・ファースト・インデックスはグーグルが推奨している考え方です。下記はグーグルによるモバイルに関する正式コメントです。(参照)。
最近では、Google 検索を使用しているほとんどのユーザーは、モバイル端末から検索を行うようになりました。
中略
来的に Google のアルゴリズムはモバイル版のコンテンツを主に使用するようになります。
「モバイル ファースト インデックスに向けて」
ウェブマスター向け公式ブログ 2016年11月5日土曜日
要約すると、”ホームページをより軽くしよう”と、”スマホで閲覧や操作がしやすいようにしよう”、そして、”対応しない場合は、検索順位を下げることもある”という事です。具体的には、重たい画像や動画、プログラムは避ける、スマホで無駄なピンチをさせるようなデザインを避けるといった事です。
特に、ホームページのアクセスにおいて、モバイルユーザーがPCユーザーを越したという事と、インターネットの通信速度の遅さや通信料制限があるという観点から、ホームページをより軽くするという命題を突き付けられています。
デザインを良くしてもアクセスは増えないという現実
こうした時代の流れ(Googleの命令)により、情報量(バイト数)が多い画像よりも、情報量が軽いCSSコードによるデザインが主流になってきました。
CSSコードによるデザインのメリットとしては、
1.情報量が少なくすむ
2.変更が容易である
3.デザインパーツを使いまわすことができる点です。
これらのメリットにより、モバイル・ファーストのスマホの対応ができるだけではなく、デザインの速い変化にも追従しやすくなり、また、デザインパーツを使いまわすことができることから、企業の運営側の手間やコストを抑える事が可能になります。
一方、CSSコードのデメリットは、複雑なデザインに対応できない事です。CSSで単純な図形と色の組み合わせまでは表現できますが、イラストや写真のような表現は出来ないため、デザインがシンプルになってしまいます。
『ホームページのデザインにこだわっても成果が上がるわけではない』という理解が進んでいることから、CSSコードによる、よりシンプルなデザインが受け入れられています。
集客・販売 > デザイン
前述の通り、ホームページのアクセス数はスマホユーザーがPCユーザーを越しました。皆さんも、スマホを見ていて、派手な装飾やグラフィカルなイラストが沢山表示されても迷惑に思うのではないでしょうか(デザインやグラフィックが目的の方は別です)。デザインは必要最低限でいいという事が分かります。
デザインに正解はありません。好みも千差万別であり、細かい事を詰めだすとキリがありません。デザインが気に入らないからお蔵入りになったWEBサイトや、社内でデザインが固まらずに公開までに1年以上かかったWEBサイト、重箱の隅をつつくように色や余白にこだわり、ろくにプロモーションを行わない担当者を弊社はたくさん見てきています。
もちろん、見た目は大事です。プロモーションの要素においてデザインは重要な役割を担います。しかし、デザインに時間とお金をかけるべきかという費用対効果を考えないとなりません。売上が無ければ企業活動は停止し、ホームページも不要になります。そうなれば、何のために見た目をこだわっていたのか分からなくなります。
コンテンツ > デザイン
ネットを使って、効率よく集客や販売、ブランディングの成果を上げるにはどうすれば良いかと考えられたのが『コンテンツ・マーケティング』です。
コンテンツ・マーケティングは数年前から欧米で始まった考え方で、企業の一方的な売り込みではなく、読者やユーザーにとって価値あるコンテンツ(主に、ブログやソーシャルメディア、画像、ビデオなど)を制作・提供を行うというマーケティング手法の一つです。
膨大な文字情報を提供する事で、自然的なSEOが期待でき、ホームページのアクセスが増え、価値のあるコンテンツを提供することで、企業のファンが定着しやすく購買欲にもつながるというメリットがあります。
もう一つのメリットとしては、コンテンツは情報資産の蓄積ができる事です。有料プロモーションや外部SNSを使ったプロモーション活動はインパクトはあるものの、情報が消失する場合がほとんどで、広告にお金や人材を投資できない企業は継続が困難になり、資産が目減りしてしまいます、その点、自社サイトに情報を蓄積・公開していれば、宣伝や販売の情報が蓄積されるので、顧客獲得や育成において都度やりなおす手間やお金がなくなるという訳です。
このようなマーケティングの考え方から、コンテンツ・マーケティングを取り入れている企業がWebの世界で強くなりました。コンテンツの方が大事だから”デザインは二の次でいい”という企業が増えている実感があります。我々が親しんでいるフェイスブックもYahoo!もNaverまとめも、デザインはシンプルです。凝ったデザインはほとんど無いと言ってもいいと思います。
ホームページ公開時は白いキャンバスでいい
弊社のクライアント様に「デザインは基本を押さえていればOK」「将来儲かったら立派なデザインにするから」という方がいらっしゃいます。全体の2,3割なのですが、こうした方々はだいたい成功している方が多いです。もしかしたら、既にホームページのデザインで失敗している方が多いのかもしれません。
起業したての頃はデザインにこだわる人が多いです。以前勤めていたホームページや大手企業のホームページのデザインが標準になっているからかもしれません。しかし、起業したての頃は、やってみないと分からないことが多いので戦略やプロモーション、ブランディングが変わる可能性が高いです。極端な話、子供向けのサービスとしてプロモーションを行って、蓋を変えてみたらシニアの人だけにしか興味がないといった事が分かり、顧客ターゲットを180度変えないとならなくなるケースが起こります。そうなると、折角時間と労力をかけたデザインが水の泡となってしまいます。また、なかなか顧客が定着しない時期は、ターゲットが違うのか、価格がまずいのいか、売り方が良くないのかなどと迷走し、そのたびに、デザインをかえたりする場合が多いです。
コンテンツ・ファーストを実行した企業が勝つ
ホームページをこれか作ろうとしている方やホームページのデザインで時間と労力を使っている方は、ホームページのデザインにこだわるのはやめて、潔く、白いキャンバスと企業ロゴだけにする事をお勧めします。
デザインにこだわっていた時間と労力をマーケティング活動に宛て、自社の価値を磨き、マーケティングの資産を構築していく。これが弊社が考える『コンテンツ・ファースト』の考え方です。コンテンツ・ファーストを実行した企業が勝つ時代です。弊社はコンテンツ・ファーストの考え方を推進し、企業支援を行っていきたいと考えます。
最後までお読みいただきありがとうございました。