検索した人がAIの答えを読み、どのサイトも開かずに終わる。この「ゼロクリック」が検索の標準になりました。
お客様のサイトのアクセスを見ていると、検索からの来訪が3割から4割ほど落ちてきています。特に2026年1月ごろから、減少の速さが目立つようになりました。
減っているのは検索の回数ではなく、サイトへ移動するクリックです。そして、このPVは以前と同じSEOを続けても、元の水準には戻りません。理由は、Googleが検索ビジネスの形そのものを変えたからです。
この記事では、Googleが2025年から進めてきた検索アルゴリズムの変更とAI検索への移行、そして企業がこれから見るべき数字と四つの対応についてお伝えします。ぜひ最後までご覧ください。
Googleは2025年から検索を段階的に変えています

Googleは2025年3月、AIモードの試験提供を始めました。5月には米国で一般提供し、9月9日には日本語での提供を開始しています。AIモードは一つの質問を複数の小さな問いに分け、検索した内容をまとめて回答します。
同じ2025年には、3月、6月、12月にコアアップデート、8月にスパムアップデートが実施されました。検索順位を決める仕組みの更新と、AIが検索画面内で答えを返す仕組みの導入が、並行して段階的に進んだことになります。
コアアップデートは、どのページを上位に表示するかという順位の変更です。一方、AI検索は、検索結果から外部サイトへ移動する前に答えを提示する画面の変更です。
順位が戻れば回復するアクセスと、検索画面の中で完結するために失われたアクセスは別物です。
国内の検索結果でAI Overviews(AIによる概要)が出る割合は、2026年7月28日時点の計測で72.9%、調べものをする検索では79.9%です(リテラ調べ)。いま起きている現象は、アルゴリズム変更による一時的な順位変動だけではありません。一時的な現象ではなく、構造的な変化と見るべきです。
順位を上げてもクリックは元に戻りません
米調査機関Pew Research Centerが約900人の検索行動を分析したところ、AIの要約が表示された検索で通常の検索結果がクリックされた割合は8%でした。AIの要約がない検索では15%です。要約内の引用元リンクがクリックされた割合は、わずか1%でした。
検索順位がほとんど変わっていないのに、アクセスだけが落ちる。これが現在の特徴です。そのため「SEOが効かなくなった」「記事の本数が足りない」と誤診しやすくなります。
Search Consoleで、表示回数とクリック数を分けて確認してください。表示回数が横ばいで、クリック数とクリック率だけが落ちているなら、順位が主な原因ではありません。
順位が原因ではない減少は、順位を上げる施策だけでは戻せません。
Googleがビジネスモデルを変えた以上、PVは戻りません

Alphabet社の発表では、「Google Search and other」の売上は2026年第1四半期に前年同期比19%増、第2四半期にも17%増えました。Googleは同時に、AIモードの月間利用者が10億人を超え、検索利用が過去最高水準に達したと説明しています。
外部サイトへのクリックが減ったという調査が相次ぐ一方で、Googleの検索利用と検索売上は伸びています。
Googleにとって現在の変化は、修正すべき不具合ではありません。検索結果の中で利用者の疑問を解決しながら、事業が成長している新しい検索の形です。
Googleは、ウェブサイトへの総クリック数は前年比でほぼ横ばいで、クリックの質は高まったと説明しています。一方、Pew Research Centerなどの実測ではクリック率の低下が確認されています。双方の見方が異なる以上、自社の判断に使えるのは自社のSearch Consoleと問い合わせ件数です。
Googleが事業としてこの方向へ進んでいる以上、以前の検索画面へ戻ることを前提にしてはいけません。アルゴリズム更新による順位の上下は今後もありますが、検索画面の中で答えを返す流れ自体は元に戻らないと考えるのが自然です。
PVを目標にし続けることが一番の危険です
PVが落ちたとき、よく出る判断は「記事を増やす」「SEO会社へ追加発注する」「順位をもっと上げる」の三つです。しかし、クリックされる割合そのものが下がっているなら、同じ方法を増やしても費用だけが膨らみます。
PVを担当者や外注先の成果指標にしている会社も、見直しが必要です。担当者の仕事が悪くなくてもPVは減ります。反対に、PVを維持できていても問い合わせが増えていなければ、経営上の成果とは言えません。
PVの減少より問題なのは、戻らないPVを目標にしたまま、予算を使い続けることです。
AEO・LLMOは必要ですが、PVを戻す施策ではありません
最近、こうした状況の中で、AEO(AI検索最適化)やLLMO(大規模言語モデル最適化)をうたう事業者が増えました。これらは、AIの回答に自社の情報や名前が引用されやすい状態をつくる取り組みです。必要性は高まっていますが、従来のPVを取り戻すための施策ではありません。
AIに引用されても、その場で利用者の疑問が解決すればサイトは開かれません。引用されることと、クリックされることは別の成果です。
AEO・LLMOの目的はPVを元に戻すことではなく、AIが答えを作るときに自社を「名前のある情報源」にすることです。
いま何をすればいいか
いまやるべきことを四つに絞ってお知らせします。上から順に取り組んでください。
一つ目:PVは参考値に下げ、CV数とCVR(コンバージョン率)を目標にする
問い合わせ、電話、資料ダウンロード、LINE追加を計測します。CVRだけを見ると、訪問者の減少によって数字が自動的に上がることがあります。必ずCV件数と並べ、件数が少ない場合は四半期単位で判断してください。
改善は、フォームの入力項目を減らす、スマートフォンに追従ボタンを置く、電話番号をタップ発信にする、事例ページに実名と数字を入れるところから始めます。
二つ目:AEOの土台として構造化データを入れる。ただし、過度に期待しない
Article、FAQPage、Organizationなど、ページの実態に合う構造化データを設定します。ただし、入れたからAIに引用されるわけではありません。選ばれたときに会社名や執筆者名を正しく伝えるための準備です。
三つ目:E-E-A-Tを意識し続ける
執筆者名、実務経歴、会社情報を明記します。差がつくのは、その先です。自社が実際に経験した具体的な事象が本文に入っているかどうかです。プロフィールを設置しただけでは一次情報にはなりません。
四つ目:唯一無二の情報を出し、一次ソースになる
自社の対応件数、価格の実態、失敗した事例、業界の中でしか知られていない事情を出します。難解に書く必要はありません。自社にしかない数字と判断を、わかりやすく書くことです。
他社の記事を言い換えただけの情報は、AI時代には存在していないのと同じです。
同時に、従来のSNSやメルマガなどの検索結果を経由しない接点も育てます。
まとめ
ゼロクリックは一時的な順位変動ではありません。2025年以降、Googleは検索順位の仕組みを更新しながら、AIが検索画面内で答えを返す形へ段階的に移行しました。
Googleの検索利用と売上が伸びている以上、以前の状態へ自然に戻ることを待つ理由はありません。PVは参考値に下げ、問い合わせ件数を測り、一次情報を積み上げ、検索に依存しない接点を増やす必要があります。
「PVが落ちたから、SEO記事をもっと増やそう」と考えているなら、いったん止めてください。
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参考資料
- Google Search Status Dashboard|検索ランキング更新履歴
- Google|Expanding AI Overviews and introducing AI Mode
- Google|Google検索における「AIモード」を日本語で提供開始
- Pew Research Center|Google users are less likely to click on links when an AI summary appears
- Alphabet|2026年第1四半期決算
- Alphabet|2026年第2四半期決算 CEO発言
- Google|検索におけるAI:クエリ数が増加しクリックの質が向上
- リテラ|AI Overviewsの表示率と引用率の推移

